西原和海・川俣 優 編
定価2400円+税
A5判 270頁
2005年3月発売
ISBN 4-915961-04-4
[品切]
満洲国時代に文化というものは有り得たのか。日本人のみにかぎらず、中国人の視野にも立ち、各ジャンルの研究者による論考。文学を中心に演劇、音楽、翻訳、観光などの切り口で、うたかたの文化を追う。その現在にいたる影響までを射程に入れている。
西原和海 (にしはら・かずみ)
1942年、中国の哈爾濱に生まれ、斉斉哈爾、嫩江、海拉爾などを転々。1946年、九州に移住。主として夢野久作関連、満洲文学・文化関連の研究と著述に専念。編著に『夢野久作の世界』(平河出版社、1975年)、『夢野久作著作集』全六巻(葦書房、1979年)、『夢野久作全集』全十巻(ちくま文庫、1991年)など。
川俣 優 (かわまた・まさる)
1949年、東京都生まれ。東京都立大学大学院博士課程中退。ハルピン・黒龍江大学日語系講師を経て、明治学院大学教養教育センター教授、同ボランティア・センター長。中国現代文学専攻、1930年代の東北作家群を中心に研究。主要論文は「蕭紅における不安の問題」(『法政大学教養部紀要』第49号、1984年)、「遅子建における〈白夜〉をめぐって」(『明治学院論叢』第641号、2000年)など。
はしがき……西原和海
満洲に住む日本人たちの表現―大連・新京における詩・演劇・批評
夭折詩人・廿地満をめぐって……坂井信夫
異邦の新劇……田中益三
木崎龍の問題提起……川崎賢子
中国人による言葉のたたかい―東北文学の作家たちに見る
日本語と中国語が交差するところ……岡田英樹
「いま、ここ」からの私的な旅……橋本雄一
ある青年作家の死……大久保明男
蕭軍小考……下出鉄男
哈爾濱という都市のイメージ―中国・ロシア・日本の文化の重なり
「満洲国」のオーケストラが教えるもの……岩野裕一
記憶/歴史/翻訳……波潟 剛
蕭紅と哈爾濱……平石淑子
中国東北の過去と現在―九・一八から八・一五、そして今日
「楽土」に響く"都の西北"……高 媛
マンチュリア・イン・アフリカ……西原和海
黒龍江が生んだ文学……川俣 優
あとがき……川俣 優
せらび書房の単行本