せらび探偵小説セレクション 第1弾
耶止説夫 著 藤田知浩 編
定価2600円+税(税込2860円)
四六判・並製 316頁
装画 グレゴリ青山
発売中(2024年9月25日刊行)
ISBN 978-4-915961-30-4
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異色の歴史本『信長殺し、光秀ではない』で一躍有名になった八切止夫は、戦中から終戦直後までは耶止説夫の筆名で小説を発表していた。ジャンルは多彩で、探偵小説のみならず、ユーモア小説、科学小説などを、ユニークな発想で数多く執筆。それらの中から、東南アジアやオーストラリア、満洲国時代の中国東北地方など、海外を舞台にしたミステリ風の小説を集成する。『外地探偵小説集 南方篇』所収「南方探偵局」の続編、「ボルネオ怪談」も収録。
耶止説夫(やとめ[やどめ]・せつお)
本名、矢留節夫。1914〔大正3〕年生まれ。1939〔昭和14〕年に『新青年』にて南洋を舞台にした「珊瑚礁王国」を発表し、以後作家活動を活発化させる。1942〔昭和17〕年に満洲に渡り、大東亜出版社を設立。引き揚げ後も執筆を続けたが、しばらくして作品の発表が途絶。1964〔昭和39〕年に筆名・八切止夫で執筆を再開。1967〔昭和42〕年の『信長殺し、光秀ではない』(講談社)以降、独自の歴史観を元にした著作を次々に発表。自ら「八切史観」と呼ぶ歴史学を確立するために執筆と出版を続けた。1987〔昭和62〕年、死去。
藤田知浩 (ふじた・ともひろ) [編者]
日本文学研究家。編著に『外地探偵小説集 満洲篇』(せらび書房)等がある
「海豹髭(シールビアド)中尉」(ソロモン諸島)
南の孤島に独居する老人は何者なのか? そして、突如現れた氷の怪物や化け物の正体は?
「聖主復活事件」(オーストラリア)
オーストラリアの海上にキリストが現れる謎の事件。その真相に、日本人の易者が挑む!
「マカッサル海峡」(東南アジア)
南の海を航海する日本の船で、溺れていた現地人を助けた主人公は、お礼としてある食物を預かるが……
「銀座安南人」(東京)
銀座で働くモダンガールは、安南から来た留学生と親しくなる。そのロマンスの行方は?
「熱帯氷山」(東南アジア)
原油を南方から日本に送る船が、連続して事故に見舞われた。若き船員が、犯人が起こしている事件と推理し、その謎に挑む!
「笑う地球」(東南アジア)
スマトラで捕らわれていた人物には、世界を揺るがす秘密があった……。主人公はその救助に奔走する!
「曲線街の謎」(旧満洲)
哈爾濱(ハルピン)のロシア寺院の窓に、異常が発生。その真相とは?
「ボルネオ怪談」(東南アジア)
『外地探偵小説集 南方篇』収録「南方探偵局」の続編。ボルネオで起きた怪事件に、探偵役の妹と助手役の兄が挑む! 謎の有尾人の正体は?
「漂う星座」(東南アジア)
オランダ領東インドへの航海船は、海が発光する怪現象を目撃する。そこに隠されているのは?
「異変潮流」(オホーツク海・ベーリング海)
戦時下の日本近海で、プランクトンが減少する現象が発生。その原因を探るため、主人公たちは北の海へと調査船で向かう!
「外国小包」(東京)
戦中の東京、外国へと送られる荷物に隠された秘密とは?
「沙漠の掟」(タクラマカン砂漠)
砂漠の油田を巡っての過酷な旅……。たどり着いた先に待つものは?
「青海(ココノール)爆撃隊」(青海湖)
アメリカの爆撃機部隊に起こる謎の連続故障。二人のアメリカ兵が探偵小説のように捜査に乗り出すが……
「瞑る屍体」(旧満洲)
ソ連占領下の旧満洲、無実の罪で捕らわれ死を待つ主人公は、決死の脱出を試みる。最後に明らかになる真相とは……? 作者が在住した奉天を舞台に描かれる地獄絵図。
編者解題
せらび書房の単行本